東日本大震災から10年目をむかえて

一般社団法人石巻青年会議所のホームページをご覧の皆様、日頃より我々の活動にご理解とご協力をいただきまして誠にありがとうございます。2021年3月11日で東日本大震災の発災から10年目を迎えます。犠牲になられた多くの方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方々や、被災され避難生活を余儀なくされ、不自由な生活を送られている皆様に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、被災地の復興へ国内外問わず大変多くの方々にご尽力賜りましたこと、感謝の意に堪えません。この場をお借りいたしまして、厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

あの日、津波によって多くの命が失われ、先祖代々住み暮らした場所も、日常の生活も奪われました。混乱と不安の中、何度も続く余震に怯え、明日の生活さえ見えない中で、身近な人と人との繋がりの強さを改めて確認し、お互いを支えあい、復興を信じてこの10年を歩んでまいりました。たくさんの励ましやご支援があったからこそ、歩んでこられた道のりでした。

現在は我々が住む圏域は市街地や道路、公共施設などのインフラの整備をはじめ、復興へ向かって着々と前進しています。しかしながら、震災によって加速したとも言われる人口流出や少子化に高齢化、今まであった地域コミュニティが消失し、人と人の関わり合いが希薄化してしまうなどの課題も未だに山積した状態でもあります。建物が、街が新しく立派になったとしても、そこに暮らす人々が、震災以前にも増して、心からの笑顔で安心して生活を送ることができなければ、真の復興を為しえたとはいえないでしょう。

震災で失ったものはあまりにも大きく、いくら努力を重ねても元には戻らないものも多く存在します。この10年間で何度も言われてきましたが、ただ元に戻す復旧ではなく、以前よりもさらにより良い復興へ、そして10年が経過したこれからの未来へ向けて、さらに住みよい持続可能な真の復興に向けて、しっかりと歩みを進めていく必要があります。

また、災害大国との言われるこの日本で、多種多様な災害に備え命を守るために、震災での実情と教訓を伝えることもまた、震災を経験した人間にしかできないことです。忘れてしまいたい辛い経験を抱えて悩む方々も未だに大勢いらっしゃいます。しかし一方で、あの日一体なにが起こったのか、どうすればよかったのか、なにが足りなかったのか、なにが嬉しかったのか、これらは経験した我々が、自身の声で、文字で、あらゆる媒体を使って伝え、繋げ、発信していかなければなりません。この10年の間でも、地震だけではなく、豪雨災害や山火事など、多種多様な災害が日本各地で起こっています。それぞれの情報を発信、共有し、これからも起こり得る災害に対して、防災、減災に繋げていくことも重要です。

震災の被害が大きかった地域の1つである石巻市南浜地区には、東日本大震災により亡くなられた方々の追悼、震災の記憶と教訓の後世への伝承、国内外に向けた復興に対する強い意志の発信を目的に、石巻南浜津波復興祈念公園の開園が控えており、宮城県と石巻市がそれぞれ公園を整備し、その中に国により「国営追悼・祈念施設」が設置され、宮城県と国が震災伝承のために「みやぎ東日本大震災津波伝承館」の展示整備が進められています。

真の復興へはまだ道半ばですが、これからも明るい豊かな未来へ向かって邁進してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

第57代理事長 沼倉勝哉

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