理事長あいさつ

第59代理事長 後藤 峻

石巻青年会議所のホームページをご覧いただきまして誠にありがとうございます。

一般社団法人石巻青年会議所(以下JCI石巻)は20歳から40歳までの青年経済人が所属しており、地域の人づくり・まちづくりに取り組んでいる団体です。主な活動内容は会員を対象にした月に一度の例会の開催、サン・ファン祭り、石巻川開き祭りなどの祭り事業、住民を対象にした公開講演会を開催しております。各事業を通じて人びとの意識を地域に向け、私たちの住み暮らす地域をより良いものとする為に活動しています。同時に、事業の構築や委員会の運営を通して、会員の人材育成・リーダーシップの向上に取り組んでいる団体です。

青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」を目指し、国内の会員数は約25,000人、世界の会員数は17万人以上が所属する、青年団体としては世界で最も大きな団体です。現在、JCI石巻では50名を超える会員がおり、女性の会員も多く在籍しております。様々な職業の方が在籍し、40歳までという年齢制限の中で、役職を1年毎に変える単年度制を用いることで、多くの成長の機会を提供しております。会議体として会議に重きを置き、限られた時間の中で行う会議において準備や段取りの重要性を学び、タイムマネジメント能力の向上や、自分の考えを相手にしっかりと伝えるスキルの向上に寄与します。また、現役の会員だけではなく、OBの会員と関わりを持つことで、地域の経営者の方々と接する機会が増え、人とのつながりが一層広がる、そんな組織です。

地域の未来を考え、熱い議論を交えて事業を構築し、地域の中で沢山の仲間とともに汗を流す。それがひいては地域の課題解決へ繋がります。石巻青年会議所は、本年もより良い地域の実現に向けて、積極的に活動して参ります。

一般社団法人石巻青年会議所 2023年度 理事長所信

【スローガン】
希望溢れる未来の創り手たれ

<はじめに> 
 一般社団法人石巻青年会議所(以下JCI石巻)は、高度経済成長期の最中である1964年6月23日に、全国で291番目の青年会議所として創立されました。創立から58年の長きに亘り、「明るい豊かな社会の実現」を目指し歩み続けてきた先輩諸兄による不断の情熱と行動、そして歴史と伝統に敬意を表するとともに、今私たちが紡ぐJCI石巻の礎を築いていただいたことに厚く御礼申し上げます。これまでも、そしてこれからも青年会議所は個人の成長を通して、地域の成長・発展に寄与する団体であると私は認識しています。時代の移り変わりとともに変化する地域課題に対し、市民の意識変革を促す運動発信と自己研鑽によって、地域の未来を切り拓くという使命に変わりはありません。次代を担う青年経済人として、私たちは生まれ育ったこの故郷をより良い形で未来へ紡いで参ります。
 私たちの活動圏域である石巻市・東松島市・女川町の2市1町は、東日本大震災による影響が色濃く現れたエリアであり、その影響は人口や産業など広範囲に及んでいます。昨今石巻市においては、「2060年に10万人を維持」としていた将来の人口ビジョンを9万4千人に下方修正するなど、人口減少のスピードに歯止めがかからない状況にある中、歳入と歳出の状況は財政調整基金を取り崩しながら収支バランスを保っており、持続可能な地域の実現に向けた取り組みが早急に必要とされています。同時に、2020年から3年間に渡り猛威を振るい続ける新型コロナウィルス感染症は、コミュニケーションの在り方や消費の形態、働き方など多方面に様々な変化を起こすとともに、私たちの周りに以前は考えもしなかった価値観や選択肢を提示しています。そして、視点を少し高めれば国際的な緊張の高まりと、それに伴う食糧やエネルギーなどの供給に関する問題が山積しています。このような時代においてもなお、私たちは夢を描き、希望溢れる未来を創り上げるべく、創立初志に立ち返り、「この地域を牽引していくのは責任世代の我々青年である」という高い志と強い覚悟をもって行動して参りましょう。

<持続可能な組織の創造>
 JCI石巻は2024年に創立60周年を迎える歴史と伝統ある青年団体です。今日に至るまで、英知と勇気と情熱をもって運動発信を継続し、行政をはじめとする各種団体と地域の皆様との間に確固たる信頼関係を築いて参りました。時代のニーズを捉えた的確な運動発信を継続することは、今後も変わらない私たちの使命です。しかしながら、この10年間で会員数が増加した時期も在りましたが、現在その数は減少に転じており運動・活動を如何にして効果的に実行するかを考える時に差し掛かっています。40歳で卒業を迎える青年会議所の性質上、志を共にする同士を増やすことは持続可能な組織を創造する第一歩であり、同時に市民の意識変革を達成するというJC運動の根幹でもあります。本年も積極的な会員拡大に取り組むとともに、既存の拡大手法だけではなく、新たな拡大手法を模索し展開して参ります。
同時に、会員が少ない状況にあっても建設的な議論を行い、効果的な運動・活動を実践できる組織を構築する必要があります。これを成し得るには、青年会議所の理念や運動について正しく理解したJAYCEEの育成と、組織内におけるチームワークの向上、各種事業に対するメンバーの参加率向上、そして志を共有できる各種団体とのパートナーシップが必要であると考えます。これまで紡がれてきた青年会議所の理念と伝統、仕組みを理解し身に着けることはJAYCEEとしてのみならず、地域を牽引する青年経済人として個の成長を促します。そして、JCI石巻という1つの組織のもと、各種事業における参加のみならず、それぞれのチームが協力・助け合うことで、会員同士がより一層深い友情を育み、JCI石巻を卒業した後も地域で活躍し続けるリーダーの輪を拡げます。さらに、志を共有できる各種団体とパートナーシップを構築することは、今以上の力強い運動発信を可能にするとともに、一層効果的な市民の意識変革を実現します。
 青年会議所における各種事業の構築と実践は、会員一人ひとりに成長の機会を提供します。「幸運の女神には前髪しかない」という言葉が在りますが、機会はやってきたその時に掴まねばなりません。20歳から40歳までの限られた時間の中で、より多くの機会を掴み、自己成長へと繋げ、持続可能な組織とその先にある持続可能な地域を、共に創り上げて参りましょう。

<故郷(ふるさと)における原体験の提供と郷土愛の醸成>
 皆さんの中にある特筆すべき「故郷の風景」とはどのような風景でしょうか。友人と見つめた輝く海、遠足で登った山頂からのパノラマ、蛍輝く田んぼの畦道、人で溢れかえる夏祭りなど、それぞれに故郷の風景をお持ちのことでしょう。石巻圏域が、何歳になっても誰かに誇れる「故郷」として在り続けるには、地域に暮らす人びとの中に、郷土愛の醸成に繋がる原体験が必要であると私は考えます。JCI石巻では、地域の祭りとして定着した石巻川開き祭りとサン・ファン祭りにおいて、創立当初より深く関わってきました。この2つの祭りは地域の歴史と文化を象徴する祭りであり、子ども達にとっては地域に対する郷土愛を育む原体験の一翼を担っています。また、行政をはじめとする各種団体、さらには学生や市民の方々とともに準備から運営まで協働して事業を作り上げていく過程は、連携する人びとの意識向上に大きく寄与しています。
 近年、郷土愛を育むこれら2つの祭りに大きな変化が現れています。石巻川開き祭りにおいては震災以前に約40万人程の総来場者数がありましたが、震災と人口減少の影響を受け震災後の総来場者数は約20万人程と半分にまで落ち込み、2022年の総来場者数は約13万人となりました。さらに、昨年は新型コロナウィルスによる影響から、観衆が集まる陸上イベントにおいて規模の縮小が余儀なくされています。サン・ファン祭りにおいては、その象徴たるサン・ファン・バウティスタ号が経年劣化に伴う影響から解体され、地域の祭りが持つ求心力の弱化が懸念されます。
 その一方で、地域に新たな魅力も登場しています。北上川河口部の堤防は間もなく完成を迎え、豊かな親水空間と新しいまちの景色が完成します。圏域を訪れる方々に楽しんで頂く水上スポーツや、自然や土地の歴史を楽しみながら歩くトレッキングの登場。市街地を楽しむイベントを積極的に開催している団体も存在します。震災の教えを次代に繋ぐ施設も整い、圏域内外から広く人びとを迎え入れています。2016年よりJCⅠ石巻が石巻市と協働の上開催してきた、政策コンテストも学生に向けた原体験の提供であり、新たな魅力の1つと言えるでしょう。
 今この時と未来を見据え、JCI石巻は責任世代として、圏域に暮らす人びとに対して必要な原体験が何であるかを読み解き、これまでの事業を進化させる局面を迎えています。温故知新・不易流行の意識のもと、人びとの心を動かす事業を構築し、より多くの方々に「故郷の風景」を提供して参りましょう。

<希望溢れる未来を描く>
 「明るい豊かな社会の実現」を超長期ビジョンに青年会議所は掲げています。まずは私たちがこの超長期ビジョンを活動エリアに落とし込み、石巻圏域が明るく・豊かな状態とはどのような状態であるかを、一歩踏み込んで描く必要があります。2022年、公益社団法人日本青年会議所は、各地青年会議所が地域の中期ビジョンを策定する運動を推進・展開いたしました。また、石巻市は2022年5月に第2次石巻市総合計画の推進に向けて、「石巻市総合計画推進会議」を設置しています。復興から次のステップへと移行する過渡期にある中、JCI石巻も60周年を迎える2024年から、先10年を見据えた中期ビジョンの策定に向けた取り組みが必要とされています。
改めて周囲を見渡せば、少子化・高齢化に伴う人口減少は生産年齢人口の減少を必然のものとする中、コロナ禍の供給制約から経済の再開に伴う需要増加と原材料の不足や、国際情勢の緊迫化に伴う資源価格の高騰から、物価の上昇は当面続くものと見られており、地方の中小企業にも賃上げの波が押し寄せ、商品やサービスの価値と生産性の向上が問われるなど、様々な分野とステージにおいて対応が求められています。そのような時代にあっても、私たちは「困難は分割せよ」を合言葉に、山積した課題をそのまま受け止めるのではなく、私たちにできる小さくも確実な1手にまで分割した取り組みを幾重にも積み重ね、歩み続けたその先に、希望溢れる未来が待っていると私は確信しています。
希望溢れる未来を創り上げるに際し、1つの指標となるのが17のゴールと169のターゲットから構成される、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標「SDGs」です。2019年、日本青年会議所は日本で最もSDGsを推進する団体を目指し、以後全国の青年会議所ではSDGsに関連付けた運動の展開を進めてきました。2018年には東松島市が、2020年に石巻市がSDGs未来都市として認定されています。スケールは異なれども、世界・地域・企業・組織と各方面に今求められている鍵は「持続可能性」であると言えます。希望溢れる未来とは、言い換えれば持続可能な地域の実現であり、それは経済・産業・福祉など日々の生活において安心感を得られ、人びとが様々なことに挑戦できる環境がそこに在るということではないでしょうか。
 多種多様な業種の仲間が集い、次代の担い手として責任感を持ち、地域の指導者たらん とする私たちならではの、様々な視点と視座を用いて生まれるその鍵を用いて、希望溢れる未来に向かう扉を開き続けましょう。

<効果的な広報活動と運動発信>
現在、私たちの運動・活動を人びとに広く知ってもらうため、広報誌の発行及び各種SNSとWEBコンテンツを活用しております。異なる年代層やターゲットに対し、的確に情報を届けることは、JCI石巻に対する人びとの理解を深めるとともに、各種事業における参加を広く募ることに繋がり、ひいてはより多くの市民意識変革に寄与します。新型コロナウィルスの影響下においても運動発信を継続するために、近年Youtubeを用いた事業の配信も行われました。その結果として、圏域内外の方々に事業実施後も広く運動が発信され続けています。これらの取り組みは今後も継続し、より効果的な情報と運動の発信に努めて参ります。

<結びに>
 私は2011年の8月に石巻へと戻り、2015年にJCI石巻へ入会いたしました。入会した1月総会の後、先輩からお呼び立て頂き直接授かった言葉を今もまだはっきりと覚えています。「後藤君、JCはまちの力だぞ」。初めはどのような意味なのか、よく分からずにおりましたが、日々社業に打ち込みながらも、何とか時間を捻出し、地域のリーダーとして率先垂範し汗を流す先輩諸兄をはじめ仲間達の姿を拝見する中で、確かにJCはまちの力であると確信するに至りました。全国に存在する青年会議所メンバーの多くは、中小企業の要職を担う青年であり、中小企業は日本の全企業数のうち約99%を占めています。JCが元気な地域は、その町の中小企業に活気があり、地域の未来を創ることに意欲的であると認識出来ます。事実、出向という経験を活かして、宮城県内・東北6県・全国各地そして時に世界と様々な町と青年会議所メンバーを拝見する中で、町とJCの栄枯盛衰は相互に影響していると肌で感じました。希望溢れる未来には、JCの力とその土台となる中小企業の力が必要です。地域のためにと議論を交わし、構築される運動の根底にあるものは、自身と大切な人の未来を、少しでも豊かなものにしたいという願いであると、私は確信しています。

「水は低きに流れ、人は易きに流れる」

 この言葉は、原典を孟子の「水の低きに就く如し」からきていると言われています。水が自然と低いほうに流れるように、人は安易な方を選びがちであるという意味です。水が低い方へと流れる際にかかる力は重力ですが、人が易きに流れる際に働く力は惰性であると私は考えます。人が重力を振り切って宇宙へと飛び出すには、莫大なエネルギーが必要です。私たちが惰性を振り切り、生まれ持った資質を向上させるには、自己変革に向けた強い意思と熱い想いというエネルギーが欠かせません。青年会議所は個人の成長を通して、地域の成長・発展に寄与する団体です。これまで組織を紡いでいただいた先輩諸兄をはじめ、私たちの運動・活動に理解と支援をいただいている各種団体と地域の皆様、そして私たちを送り出してくれる企業の皆様、両親、家族、そして子ども達に感謝するとともに、その期待に応えるべく、強い意思と熱い想いを以て積極果敢に行動し、希望溢れる未来を創り上げて参りましょう。

<基本方針>
1. 積極的な会員の拡大
2. 故郷における原体験の提供
3. 希望溢れる未来を創る事業の推進
4. 会員の資質向上に繋がる例会・セミナーの開催
5. 効果的な広報活動と発信・情報公開
6. 会員相互の情報共有と親睦交流

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