2026年度・理事長所信

一般社団法人 石巻青年会議所
第62代理事長 千葉 隆太

スローガン
志(し)魂(こん)一貫(いっかん)
~地域(まち)に情熱の火を灯し、未来を照らす~

<はじめに> 
1951年、終戦からわずか6年という焦土と混乱の中にあった日本において、「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という強い覚悟のもと、日本青年会議所の運動が始まりました。それからの75年、戦後の復興からの高度経済成長、バブル景気、そして失われた30年、移り変わる時代と社会に向き合いながら、日本青年会議所はこの国の発展に寄与し続けてきました。社会課題に挑み、人と人を繋ぎ、時代ごとに必要な変革を起こしてきた先人たちの足跡は、今も全国各地のまちと青年に息づいています。
私たち石巻青年会議所もまた、1964年の創立以来、半世紀以上にわたり地域に根差した運動を展開して参りました。先輩諸兄姉から脈々と受け継がれてきた「明るい豊かな社会の実現」という志と地域への情熱、圏域に住まう皆さまからの支えにより今の私たちはここに立っています。長年にわたるご理解とご支援に、心より深く感謝と敬意を表するとともに、これからも信頼と期待に応えるべく、地域とともに歩み続けて参ります。
人口減少、少子高齢化、財政制約、産業構造の転換、わが国全体が抱えるこれらの課題は、今や国の中枢だけでなく、地域の暮らしにも直接的な影響を及ぼしており、都市と地方の格差が広がる中で、地域の持続可能性そのものが問われる時代を迎えています。このような中、石巻・東松島・女川の二市一町から成る私たちの活動圏域においても、人口の急速な減少、若年層の地元離れ、高齢化の進行、地域内コミュニティの希薄化といった深刻な課題に直面しています。とりわけ、震災を経験した地域としての特殊性を抱えながら、復興後の持続可能なまちづくり、働く場の確保、人と人の繋がりの再構築は喫緊のテーマです。行政においては、こうした現実を直視し「人口減少抑制」「稼ぐ地域づくり」「安心して住み・働ける環境整備」「多様な人材の育成」を重要施策と捉えています。この圏域の将来像は、行政や企業だけでなく、地域に根差す一人ひとりの意思と行動によって築かれるものです。圏域に暮らす人びとが地域の未来を自分ごととして捉えるために、私たち石巻青年会議所は「意識変革の起点」とならなくてはなりません。圏域を代表する責任世代としての自覚を持ち、地域の声に寄り添い、仲間とともに悩み、考え、行動していくことが大切です。その歩みの一つ一つが、希望ある未来を拓く力になると信じ、これからも地域とともに、変化を恐れず挑戦し続けて参りましょう。

<人が成長することで進化するLOMの創造>
 私たち青年会議所は「明るい豊かな社会の実現」を目指し、会員が自らの資質を高め、地域の課題解決に主体的に取り組むことを通して、社会に良い変化を生み出していく団体です。JC運動の根幹には「個人の成長なくして組織の成長はなく、地域の発展もない」という理念があり、多くの先輩方がこの理念を胸に自己研鑽を重ね、地域のリーダーとしての責任を果たしてきました。しかし近年、石巻JCでは会員数の減少に伴い、地域社会への発信力や影響力の低下が課題として顕在化しており、これまでの歩みを持続可能なものとして継承していく力が、損なわれつつあります。だからこそ、私たちは改めてJCの本質に立ち返り、「なぜこの組織に身を置いているのか」「誰のために、何のために活動しているのか」を問い直す必要があります。
 会員一人ひとりが成長し続けることで組織の厚みが増し、その姿が外部から魅力的な組織として映ることで、「自分もこの組織で活動したい」と感じる仲間が新たに生まれる。
このような正の循環を生み出すことこそが、会員の資質向上と会員拡大、両輪の推進力となります。そのためには、会員一人ひとりが「石巻JCの顔」であることを自覚し、どのような場においても、青年会議所の理念や価値、そして運動を自らの言葉で語り、伝える力を磨いていく必要があります。それは単なるPRではなく、自己の成長と地域への貢献を結びつけた「生きた言葉」でなければなりません。その力を育むためには、JCが提供する「4つの機会」を自ら積極的に掴みにいく姿勢が不可欠です。日々の例会や委員会活動に加え、出向や地域行事、外部との交流など、様々な場で挑戦を重ねることで、自身の想いや学びを「生きた言葉」として語れる力が磨かれます。
さらに、私たちが大切にするJCの三信条「修練・友情・奉仕」は、この挑戦の先に必ず結びついています。地域のために行動し、仲間と苦楽を分かち合いながら自らを鍛える。そうした過程の中で、強固な信頼と絆が生まれます。この絆こそが、私たちがJC活動に挑戦し続ける意義であり、次代へと繋がる力になるのです。
JAYCEEとしての誇りを持ち、切磋琢磨しながら、私たちはこれからも、地域から必要とされ、共感される存在を目指して参ります。そして、一人ひとりの挑戦と成長が連鎖し、互いを高め合える絆と信頼に満ちた組織風土を醸成しながら、地域に信頼され、時代に応じて進化し続ける、持続可能で誇れるLOMを創造します。

<祭りを通じた文化の継承と創造>
 古来より祭りは、地域に根差す文化や信仰を次代へと伝える営みであり、人びとの暮らしの中に息づく誇りです。石巻圏域においても、自然の恵みとともに生きてきた人びとが、感謝や祈りの想いを込めて築いてきた歴史の中に、数々の祭りが受け継がれてきました。先人たちが紡いできた祭りの灯を絶やすことなく次代へと継承していくことこそが、責任世代である我々の大切な使命であると私は考えます。
石巻JCは、長年にわたり圏域の祭りである石巻川開き祭りとサン・ファン祭りへと参画し、地域文化の継承と発展に寄与して参りました。石巻川開き祭りでは、おみこし大行進やアクアカーニバル等、歴代の先輩諸兄姉が築かれた多くの事業がJC発の事業として現在でも市民の皆さまへ親しまれています。2006年から開催している縄張神社奉納大繩引き大会は、東日本大震災や新型コロナウィルスによる本祭の中止など、数々の困難を乗り越え継続事業として受け継がれています。これまで数多くの名勝負が生まれ、地域に活気と一体感をもたらしてきただけでなく、祭りの歴史と文化を発信する大切な役割を担ってきました。また、石巻JCが発足より携わってきたサン・ファン祭りでは、慶長遣欧使節の偉業と伊達藩の挑戦心を次代へ伝えるとともに、関係団体と連携しながら、地域住民が主体となって築き上げる「手づくりの祭り」として、郷土愛と地域への誇りを育んできました。
一方で、時代の変化とともに表面化してきた課題とも我々は向き合わねばなりません。石巻川開き祭りでは、価値観の多様化や生活スタイルの変化により、若年層の祭り離れや担い手不足といった課題が顕在化しており、サン・ファン祭りにおいても、新たな復元船建造とサン・ファン館リニューアルを経て、歴史的価値と文化的意義が見直される中、地域資源としての魅力をいかに高め、持続可能な祭りとして受け継いでいくかが問われています。
こうした中で私たち石巻JCが果たすべき役割は、単にイベントを盛り上げる存在ではありません。地域に根ざし、まちづくりを行う団体として、先人たちが築いてきた伝統や精神を継承しながらも、今の時代に合った祭りの在り方を考え、地域にとっての新たな魅力や意味を生み出していくことが求められています。そのためには、地域の人びとが「自分たちの祭り」として誇りを持ち、自然と関わりたくなるような仕組みや参加のかたちを工夫しながら創っていくことが重要です。伝統を大切にしながらも、世代や価値観の違いを超えて、多くの人が参加しやすい「これからの祭りのかたち」を描き、育てていくことが私たちの使命であると考えます。祭りの持つ熱量や高揚感を、より身近に感じられる工夫を凝らし、市民の一体感や郷土への誇りを育む契機とすることで、祭りがまちの未来を照らす原動力となるよう、これからも挑戦を続けて参りましょう。

<青少年と繋ぐ、未来への備えと命の記憶>
2011年3月11日、未曾有の大震災が私たちのまちを襲いました。あの日から15年が経過する本年、現在の義務教育を受けている世代は震災を「経験していない世代」となりました。また、石巻JCのメンバーにおいても、当時は学生や児童であった者が多数を占めており、震災の記憶や教訓を自らの言葉で次世代へ語り継ぐことが難しくなりつつあります。しかし、震災を風化させず、未来を担う子どもたちが命の尊さや備えの大切さを考え、行動する力を育むことは、今を生きる私たち大人の責任です。近い将来の発生が予想される南海トラフ地震をはじめとした自然災害に備えるためにも「その時」に率先して行動を起こせる力、すなわち自助・共助の精神を次世代に根付かせることが必要であると私は考えます。
教訓を伝えるには、心を動かす体験が必要です。私たちは、子どもたち自身が感じ、考え、表現する機会を設けることで、震災の記憶を一過性の知識で終わらせず、内面からの気づきとして心に刻んでもらいたいと願っています。そのためには、知識として学ぶだけでなく、子どもたち自身が事業を形にする過程に関わり、仲間と協働しながら形にしていくプロセスが重要です。そうした体験は、単なる知識の習得ではなく、自らの言葉や行動へと繋がる「生きた学び」となり、やがて地域を守る力へと育っていくと信じています。地域に生きる一人ひとりが、過去を知り、現在を見つめ、未来に備える力を育む。その土台を築くことこそが、私たち石巻JCの使命です。災害を伝えることは、命を守る未来を創ることに繋がります。震災の記憶と教訓を、地域の未来に責任を持つ世代として、次代へ紡いで参ります。

<圏域全体に描く、持続可能な地域の未来>
石巻圏域は、世界三大漁場である金華山沖を有し、古くから水産業と港湾物流の要衝として栄えてきました。しかし、人口減少や若者の流出、地域経済の縮小といった構造的課題は年々深刻さを増しており、産業振興や雇用創出といった地域の根幹を支える領域において、抜本的な対策が求められています。近年では、外部資本や人材を呼び込む「攻めの地域戦略」として、企業誘致やスタートアップ支援といったアプローチの重要性が高まっています。
 一方で、こうした課題に立ち向かうには、圏域全体としての連携と一体感が不可欠です。石巻市では平成の大合併以降、旧1市6町が行政的には統合されたものの、それぞれの地域が持つ特色や歴史、生活文化の違いから、多様な意見や考え方が存在しています。そういった背景から、まちづくりや政策の方向性について、地域ごとに受け止め方や歩調の違いが見られるのも事実であり、同じ方向を向いて歩むための理解を深め合う機会を持つことが求められています。こうした状況は、東松島市や女川町においても同様です。それぞれが固有の課題に向き合いながら独自のまちづくりを展開していますが、圏域全体の持続可能な発展のためには、横の繋がりを深めていく必要があると私は考えます。
 この圏域の多様性は、裏を返せば「多様な可能性」でもあります。-漁業、農業、観光、IT、教育、福祉-それぞれの現場で奮闘する人びとが繋がり、語り合い、協働することで、明るい地域の未来が創造されると私は考えます。そのためにも、私たち石巻JCがその起点となり、地域の垣根を越えた交流と連携を促進していけるよう努めてまいります。

<共感を生む広報の確立>
現代において、広報は単なる情報発信にとどまらず、私たちの運動の価値を地域に伝え、共感の輪を広げていく重要な手段です。石巻JCにおいても、これまで多くの先輩諸兄姉が試行錯誤を重ねながら、広報活動を通じて地域との接点を築いてきました。その積み重ねがあってこそ、私たちの活動は地域に根ざし、発展してきたのだと感じています。
一方で、情報があふれる現代社会において、受け手の心に届く発信のあり方も日々進化しています。とりわけ、若年層をはじめとした多様な世代との繋がりを意識する中で、
ただ事業の内容を伝えるだけではなく、「なぜこの活動を行うのか」「誰のために、どんな想いで取り組んでいるのか」といった背景や熱意が伝わる発信が求められています。
本年は、そうした時代の変化を踏まえ、広報活動に新たな視点と工夫を加える1年と位置づけ、今まで以上に伝わる広報を目指し、視覚的な工夫や圏域住民との対話を意識した発信を通じて、より多くの共感を育む広報体制の確立に努めて参ります。

<未来に火を灯すブロック大会の開催>
 2026年度、石巻JCは宮城ブロック大会の主管LOMを担います。前回主管した2015年度から11年の時を経て、再びこの圏域に県内各地の仲間を迎え入れる機会を得たことは、私たちにとって大きな誇りであり、地域の未来に向けた挑戦でもあります。
 本大会では、LOMとして「たからいち」を担当し、石巻圏域の魅力や可能性を発信する場とします。その中で、地域の若者たちが関わる機会を設け、未来を担う世代の力を大会の活力として取り込みながら、共に大会を築いて参ります。
また、例年のブロック大会はメンバー間の学びや交流を深める貴重な機会となっていますが、本大会では「宮城ブロック最大の運動発信の場」として、圏域住民にも広く開かれた「学びと気づきの場」「地域の未来を考えるきっかけ」となる大会を目指します。
この大会を宮城の未来に火を灯す「着火点」とすべく、石巻JC一同、挑戦を恐れず、想いを束ね、情熱を燃やし、次代へのバトンをこの地から力強く繋いで参ります。

<結びに>
 私が青年会議所の門を叩いたのは、30歳を目前に控え、「このままではいけない」という漠然とした危機感を抱いたことがきっかけでした。それまでの私は、地元に対して強い愛着があったわけではなく、どこか都会に憧れを抱き、学生時代から社会人5年目まで東京での生活を選んでいました。しかし、2020年に入会してからのJC活動は、私にとって地元の姿を見つめ直す転機となりました。入会直後に訪れたコロナ禍という未曾有の環境下でも、石巻JCの仲間たちは地域のために何ができるかを真剣に考え、行動を続けていました。その姿勢に触れ、地域のために動くとはどういうことかを肌で感じる日々の中で、私にも少しずつこのまちへの誇りと愛着が育っていきました。
JCでの学びは数多くありますが、私が最も大切だと感じているのは、「誰よりも地元に興味を持ち、地元を知り、愛すること」、そして「一人ひとりが石巻JCの顔であるという自覚を持って行動すること」です。私たちのふるまい一つ一つが組織の信頼やブランドを形成し、地域社会へ共感の渦を作るのだと私は考えます。また、青年会議所は、挑戦するすべての人に開かれた成長の場であり、まちと真剣に向き合うための「機会」に満ちた場所です。時に迷いや葛藤を抱えながらも、志を同じくする仲間とともに、歩みを止めず挑戦し続けてきたその先にこそ、かけがえのない経験と、確かな絆が生まれるのだと私は信じています。一人ひとりが胸に抱く志を原点に、魂を込めた挑戦を貫き通す。この「志魂一貫」の精神を元として、これまで先輩諸兄姉が紡いでこられた歴史と伝統を受け継ぎ、日頃より私たちの活動に理解を示し、送り出してくださる会社の皆さまとご家族への感謝を忘れずに、仲間とともに情熱を持って地域(まち)の未来を切り拓いて参ります。

地域(まち)に情熱の火を灯し、未来を照らして参りましょう

<基本方針>
1. 積極的な会員の拡大
2. 地域の誇りと文化を繋ぐ祭り事業の推進
3. 地域を繋ぐまちづくり事業の推進
4. 会員の資質向上に繋がる例会・セミナーの開催
5. 未来を担う子どもたちを育む青少年事業の推進
6. 共感を呼ぶ発信と広報の推進
7. 会員相互の情報共有と親睦交流
8. 地域の未来を照らすブロック大会の開催

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